作品解説
便利な物事が増えていく世の中に疑問を持ち、アナログな物こそ私たちの生活にゆとりや豊かさをもたらしてくれるのではないかと気がついた。版画や昔の印刷技術による版のズレ、かすれ、凹みから、人の手が加わった物の豊かさに私は魅力を感じ、時間と手間をかけ、アナログな方法で紙雑貨を作りたいと思った。カレンダーは活版印刷を日常に取り入れられるアイテムでもあり、是非生活の中にアナログな物を用いる豊かさを見い出して欲しい。
プロセス
テーマに適した版画技法や活版印刷について調べるところから始め、活版印刷が出来るスタジオを自身で調べ、インターンとして通いながら制作を進めることになった。求める表現に合う技法や素材選び、活版印刷に適した紙選びにもこだわった。ゴム版を彫り、刷り、活字を組み、刷る。後半はひたすら地道な作業を繰り返した。制作の様子も撮影しながら進め、最後にはメイキングムービーも作成した。全て自分の手で作るということにこだわった。
◯アナログカレンダー
アナログなアイテムをモチーフに、ゴム版画で背景となるイラストを刷り、その上から活版印刷で圧をかけて文字を印刷。カレンダーのカード12枚と時計の文字盤4枚がセットになっており、差し替えながら使える。
◯アナログカレンダーのパッケージ
カードのみの物と、台などがセットになった物の2種類のパッケージがある。初めはセットを買い、次年度からはカードのみを買い足してもらう想定の商品だからだ。カラーバリエーションに合わせてパッケージも3種類ずつ用意した。
◯キーチェーンカレンダー
持ち運べる活版印刷としてより日常に取り入れられる形である。非常に細かい為、活字ではなく樹脂版の2色刷りで制作した。
◯アドベントカレンダー6種類のフォントの活字を使い、それぞれの日にちを印刷した。小さな引き出しにキャンディーなどが入れられる。